労働判例〜賃金や賞与、退職金

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月給制と解される場合には、背信的な欠勤についても、賃金請求権は認められるのか?

労働判例

懲戒解雇が相当な幹部従業員の賃金が月給制であっても、長期に欠勤し、連絡がとれないような事態は減額規定のない給与規定の予想外であって、賃金請求権自体が発生しないとされた事例
(平成3.4.8 東京地裁判決 東京Mサービス事件)

 

判決の要点

懲戒解雇の有効性

1.原告は、平成元年6月1日から出勤しなくなり、被告会社は同月27日懲戒解雇の意思表示をした。

 

2.被告会社の就業規則によれば、懲戒解雇ができる場合として、66条1号に「正当な理由なく無断欠勤7日以上に及び出勤の督促に応じなかった者」、2号に「職務上、上長の指揮命令に従わず、職場の秩序を乱した者」が定められているところ、原告の行為は、就業規則66条1、2号に定める懲戒解雇事由に該当するというべきである。

 

3.そこで、本件懲戒解雇に懲戒権の濫用となるべき事由があるかについて判断する。

 

原告は、被告会社の経理部長でありながら、D商事の代表取締役となり営業行為をしたことがあり、この評価であるが、思うに、原告は被告会社の経理部長であるから、同社に対してその職務を誠実に履行する職務専念義務ないし忠実義務を負うものであり、許可を得ることなく、他の会社の代表取締役となり、被告会社に関連する取引をして利益を挙げるということは、重大な義務違反行為であるといわなければならない。

 

本件懲戒解雇の背後にあるこの重大な事情をも考慮して、本件懲戒解雇の効力を判断するに、本件懲戒解雇は相当であって、懲戒権の濫用を窺わせる事情は認められない。

 

完全月給制と解される給与規定の適用と賃金請求権

1.被告会社の給与規定によれば、給与の毎月の計算期間は原則として前月21日から翌月20日までとする、幹部社員は月給制とする、と定められている。

 

原告は、平成元年5月31日までの給与の支払は受けているが、6月1日以降の給与の支払を受けていないことが認められる。

 

2.給与規定には、月給日給者が事故欠動した場合には日割額を減額すると定められているが、月給制の場合についての減額の具体的規定はない。

 

とすれば、原告に対しては、6月1日から20日までの給与の支払義務があるように形式的には解されるところであるが、原告は6月1日以降は出動しなくなり、被告会社からの連絡が金くとれない状態であったことを考えると、本件のような事例は給与規定が予想しているものではなく、ノーワークノーペイの原則により、そもそも賃金請求権の発生すべき債務の本旨に従った労務の提供がなかったものというべきであるから、原告の主張は理由がない。


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