労働判例〜賃金や賞与、退職金

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懲戒解雇の効力が発生するまでの自宅待機等の期間については、賃金請求権が認められるのか?

労働判例

5月22日事情聴取、以降自宅待機、6月21日懲戒解雇の意思表示の場合において、自宅待機から解雇成立日(7/21)までの間の賃金及び夏季賞与・冬季賞与の一部の支払請求が認容された事例
(平成10.3.23 大阪地裁判決 関西FP事件)

 

判決の要点

経過の概要

1.原告に対する事情聴取は、平成7年5月22日本社で行われ、原告はUの横領行為には関与していないが、自己が費消した金員として約200万円ないし300万円はある旨述べて、Uの横領に対する自己の責任を認め、被害金額を弁償するつもりがあること等を述べた。

 

被告会社は、原告に対し、同日、翌22日以降の自宅待機を命じた。

 

2.原告は、同年6月21日、再度の事情聴取を受け、その結果、被告会社は原告に対し、懲戒解雇する旨の意思表示をした。

 

原告がUの横領行為に積極的に加担ないし関与したとまでは断定できないが、健全な常識を働かせれば、横領行為を容易に知り得る状況にあり、営業所長として経理関係書類のチェックを怠り、被害金額を増大させたといえるから、就業規則の規定に該当し、解雇は有効である。

 

予告手当及び賃金の損害賠償への填補・相殺の違法性・・・懲戒解雇の成立

1.原告は、平成7年6月29日、本社において同年5月分給与及び解雇予告手当を支払うと言われ、現金入りの封筒を差し出された。

 

この際、原告は封筒を一旦受け取ったが、被告会社が用意していた趣旨・全額が記載されている「受領書」に捺印を求められ、捺印したところ、封筒の中身を確認する問もなく、被告会社から損害賠償の一部としてこれを支払って貰いたい旨の説明を受けた。
(中略)

 

2.封筒の現金は原告の支配下に置かれたものとはいえず、被告会社の損害賠償債権を自動債権とし原告が有する賃金債権等を受動債権として相殺したに等しく、労働基準法24条の趣旨に反するもので、解雇予告手当及び5月分賃金の各支払がなされたものということはできない。

 

また、予告手当の支払なき即時解雇は即時解雇としての効力を有しないが、即時解雇に固執する趣旨でないときは30日の経過等により解雇としての効力が生ずると解されるが、本件では即時解雇に固執する趣旨でないと認められるから、本件解雇から30日が経過した平成7年7月21日に懲戒解雇としての効力が発生するものと解される。

 

自宅待機期間及び解雇の効力発生までの期間の賃金請求権

1.以上によれば、原告は、被告会社に対し、平成7年5月分、6月分賃金及び7月分賃金の一部(6月26日から7月21日までの分)を請求する権利を有する。

 

2.就業規則及び労働慣行に基づき、夏季・年末の一時金が支給されており、仮に原告が引き続き勤務した場合、平成7年の夏季・年末一時金148万円余(夏季は基本給の2ヶ月分、年末は同1.5ヶ月分)が本来支払われることになっていたから、夏季一時金全額及び年末一時金の査定対象期間の日割計算額を請求することができ、その合計額である127万円余を夏季及び年末賞与として請求する権利を有する。


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