労働判例〜賃金や賞与、退職金

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解雇が無効な場合は、諸手当の請求ができるのか?また、再就職をしても賃金請求権があるのか?

労働判例

出張・努力・皆勤の諸手当は現実の就労を要するから、損害賠償の請求は格別、賃金請求権としては認められず、また、解雇の撤回など就労拒絶を解消しない限り、賃金請求権が存するとされた事例
(昭和61.11.28 大阪地裁判決 H会事件)

 

判決の要点

解雇無効時の皆勤手当等の請求の可否

1.本件懲戒解雇は、Kの受傷の程度は必ずしも軽微とはいえないが、その理由とされた暴行の態様、暴行に至る経緯、解雇権の濫用目的の存在、適正手続の不履践等の観点からみて、社会通念上相当なものとして是認することができないものであって、無効であると判断せざるを得ない。

 

2.そこで、賃金請求権について考察する。
請求原因のうち、出張手当、努力手当、皆勤手当の性格については争いがあるが、証拠並びに弁論の全趣旨によれば、出張手当は出張業務を中心に職務精励があった場合に、努力手当は職務に対する努力があったと認められる場合に、皆勤手当は欠勤が皆無の場合にそれぞれ被告病院がその裁量権を行使して支給する性格のものであって、いずれも労務の提供がなされただけでは足りず、評価されるだけの現実の就労のあったことが支給の前提条件となるものであることが認められる。

 

3.したがって、本件においては、原告は、不法行為に基づいて前記諸手当相当額の損害賠償を請求し得る余地があるのは格別、直ちに本件懲戒解雇の無効に基づき賃金請求権として当該諸手当の請求をすることはできないものと解する。

 

労務提供の受領拒絶を解消しない場合における再就職後の賃金請求権の存続

1.本件懲戒解雇がなされた当時、原告が被告病院から雇用契約に基づき、毎月28日限り、1ヶ月16万円の本給及び職域手当の賃金を支給されていたことは当事者間に争いがない。

 

2.ところで、被告病院は、原告が昭和57年10月21日医療法人仁泉会阪奈病院に就職して被告病院に復職する意思を喪失したのであるから、当該日時以降はかかる賃金請求権を失うに至ったものと解すべきである旨主張するので検討する。

 

労働者が労務の提供をしたのに対し、使用者が無効な解雇により一旦その受領を拒否した以上、まず、使用者が当該解雇を撤回するなど、その受領拒絶の態度を改める借賃をとらないかぎり、賃金請求権は失われないものと解されるところ、本件においては、全証拠によるも被告病院がかかる措置をとったことを認めるに足りる証拠は全くないのであって、結局、被告病院のこの主張は採用することができない。

 

3.ただし、原告は昭和57年10月21日に前記F病院に就職し、その採用の当初から相当額の給料の支給を受け、現在では月額として35万円の外、年2回の賞与の支給を受けていることが認められるので、原告は被告病院に対し、前記日時以降は月額16万円の6割に当たる月額9万6,000円の限度で賃金請求権を有するものというべきである。


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