労働判例〜賃金や賞与、退職金

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「解雇だ、明日から来なくてよい」旨の告知日から、正式解雇日までの賃金請求権は認められるのか?

労働判例

8月27日の告知の翌日には、「正式決定でなく、おって連絡する」旨の会社回答がなされ、話し合いを経て12月10日に正式解雇となり、この間の不就労につき、賃金請求権が認められた事例
(平成10.5.29 大阪地裁判決 Nテレホン事件)

 

判決の要点

解雇の概要

1.原告は、それまでにも顧客とのトラブル、粗暴な行動などにより上司から注意を受けていたものであるが、平成8年8月27日も番号案内を巡って顧客とトラブルを生じ、一方的に回線を切断したことから、上司及び所長から注意された。

 

そして、同日の勤務終了後、Y代理が、原告に対して改めて回線を切断してはならない旨注意したのに対し、原告が、「自分は悪くない。システムが悪い。今後も切ることがある。」旨、答えたため、立腹したY代理は、「解雇だ、明日から来なくてよろしい。」旨を告げ、原告のIDカードを取り上げた。

 

2.翌28日、原告の両親が所長に架電したところ、同所長は「解雇は正式決定ではない。本社と相談して決定し、おって連絡する。」旨、回答した。

 

(その後、所長らが原告宅を訪れるなどして、原告の勤務態度の改善など勤務継続について話合いが持たれたが、原告は勤務態度改善の確約に応ぜず、進展しないまま、この間就労しなかった。)

 

被告会社は、同年12月4日、これ以上交渉を続けても無駄であると判断し、原告を同月10日付けで解雇する旨の所長名の解雇通知書を原告に送付した。

 

3.被告会社が本件解雇に及んだのは、原告が8月27日の業務終了後、Y代理から注意されたのに対してこれに従わず、かえって開き直るような対応に出たことが直接の契機であったことが窺われるけれども(中略)、電話の2、3割がいたずら電話と思い込み、一方的に切断しても構わないとの独自の見解を持って被告会社の指導に従わなかったものとみるのが自然であるから、原告の主張は理由がない。

 

賃金請求権の存否及び内容

1.前記のとおり、本件解雇が有効であるとしても、原告の平成8年8月28日から同年12月10日(解雇の効力発生の日)までの賃金請求権の有無が問題となる。

 

2.この点については、当該期間の原告の不就労が被告会社の責に帰すべき事由によるか否かによって決すべきところ、前記認定のとおり、被告会社のY代理は、同年8月27日、原告に対し、「解雇だ、明日から来なくてよろしい。」と告げ、センター内に入るのに必要なIDカードを取り上げたこと、その後、原告に対して出勤を命じた形跡がないことに照らせば、同月28日以降原告が就労しなかったのは被告会社による不当な就労拒否によるものというべきであるから、原告は、当該期間の賃金請求権を失わないというべきである。

 

3.そこで、当該期間に原告が取得すべき賃金の額について検討するに、原告の給与は、時間給制であり当該月の出勤日数及び時間に応じて金額が定まるところ、各月の出勤日数は、前月に交付される個人別ローテーション表によって定まるため、17日から22日の範囲で変動することが認められる。

 

したがって、直近3ヶ月の給与の平均をもって同年8月28日以降の原告の賃金額とすべきところ、この平均額は、14万1,247円(計算式:直前3ヶ月分の給与合計額÷3)となるから、原告が請求できる賃金月額は、14万1,247円となる。
(総額48万7,529円を算定)


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