労働判例〜賃金や賞与、退職金

スポンサードリンク



勤務に支障のない旨の診断書の提出を怠った場合でも、賃金請求権は認められるのか?

労働判例

勤務中に気分が悪くなり、事故を起こしたタクシー運転手に対する診断書の提出指示は、安全確保上不可避の措置であり、本件不就労は会社の責に基づかないから、賃金請求権はないとされた事例
(平成7.6.23 大阪地裁判決 F交通事件)

 

決定の要点

乗務を停止した事情

原告はタクシー運転手として勤務中、気分が悪くなり接触事故を起こし、病状が危惧される状態にあった。

 

被告会社は、原告に対し、病院に行き正確な病状の診断を受けるとともに、タクシー運転手としての乗務が平常どおり可能かどうかの判定を受け、その結果を記載した診断書を提出するよう指示し、併せて診断書が提出されるまでは乗務はできない旨伝え、その後も同趣旨の指示を繰り返した。

 

乗務停止期間中の賃金請求権の存否

1.疎明と審尋の全趣旨を総合すると、被告会社の就業規則及び賃金規程によると、原告の賃金は日歩合制であり、原告がタクシーに乗務しなかった場合には賃金の支給はなされないことが認められる。

 

原告が、平成7年4月4日以降同年5月28日まで、タクシーに乗務しなかった事情は前記のとおりであり、少なくともこれが被告会社の責に帰すべき事由に基づくものではないことが認められるから、被告会社は原告に対し、当該期間の賃金を支払う義務はない。

 

2.原告は、被告会社から自宅待機を命じられたため勤務しなかったものであり、賃金請求権を有すると主張する。

 

しかしながら、被告会社が原告に対してなした指示は、原告がタクシーに乗務可能なことを医師の診断書によって明らかにするまで乗務できないという内容であり、この指示は、平成7年4月3日の原告の病状の深刻さからみて、タクシー運転業務の安全性確保のために避けられない措置であるから、これをもって被告会社の責に帰すべき事由に基づいて乗務させなかったということはできない。


スポンサードリンク

勤務に支障のない旨の診断書の提出を怠った場合でも、賃金請求権は認められるのか?

私病により現務が困難な場合でも、他にできる業務があれば、賃金請求権は発生するのか?
QC活動の「作業ミス報告書」提出拒否者に対する就労禁止期間は、賃金請求権が発生しないのか?
タクシー乗務員を営業係へ配転できるのか?配転を拒否した場合、賃金請求権は認められるのか?
配転拒否による懲戒解雇が無効でも、配転命令自体が有効なら、賃金請求権は認められないのか?
解雇が無効な場合は、諸手当の請求ができるのか?また、再就職をしても賃金請求権があるのか?
予告手当を支払わずに即時解雇した場合には、賃金請求権が認められるのか?
「解雇だ、明日から来なくてよい」旨の告知日から、正式解雇日までの賃金請求権は認められるのか?
解雇が無効な場合、通勤手当や超過勤務手当相当分も請求できるのか?
有期契約途中の解雇が無効な場合には、期間満了までの賃金請求権が認められるのか?
上司の執拗な反省書要求等により心因反応を生じて欠勤した場合、賃金請求権は認められるのか?
懲戒解雇の効力が発生するまでの自宅待機等の期間については、賃金請求権が認められるのか?
月給制と解される場合には、背信的な欠勤についても、賃金請求権は認められるのか?