労働判例〜賃金や賞与、退職金

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有期契約途中の解雇が無効な場合には、期間満了までの賃金請求権が認められるのか?

労働判例

1年間の有期契約期間内におけるHIV感染を理由とする解雇は無効であり(慰謝料200万円認容)、解雇から期間満了に至るまでの間の賃金請求権が認められた事例
(平成12.6.12 千葉地裁判決 特定疾病解雇事件)

 

判決の要点

解雇の認定及びその無効

被告会社は、日系ブラジル人で新規に雇用した原告につき、定期健康診断として本人に秘したまま、HIV抗体検査を無断実施し、その結果、HIV感染が判明したことから、それを理由に原告の退職を図って、当初は、感染事実の判明を契機に帰国を促したが、原告が応じなかったため、不景気によるリストラを表面的な理由として解雇したものと認めるのが相当である。

 

したがって、原告のHIV感染を実質的な理由としてなされた解雇は正当な理由を欠くものであり、権利の濫用として無効であるというべきである。

 

解雇無効なるも有期契約期間の満了による雇用契約の終了

本件雇用契約は、契約期間を1年間とし期間満了後は更新できるが、更新を希望しないときは2ヶ月前までに相手方に通知する旨の定めがある。

 

そして、この契約条項や更新実績のないこと、作業内容が比較的軽易で技術習得を必要とするものでないこと等から、本件雇用契約は更新のない限り期間満了によって終了する性質のものと認められる。

 

被告会社は、平成10年7月12日、原告に対し、本件雇用契約の更新を拒絶する旨通知しており、したがって、同年9月16日をもって本件雇用契約は終了したことが認められる。

 

賃金請求権の存否及びその範囲

1.原告は、被告会社の不当な解雇によって就労し得なかったのであるから、この就労不能は使用者の責に帰すべきものというべきであり、原告には、本件雇用契約がその期間満了によって終了した平成10年9月16日までの賃金請求権が認められる。

 

なお、平成10年2月23日の第1回口頭弁論期日こおいて、その時点における原告の雇用契約上の権利を有する地位の確認請求を被告会社が認諾した事実が記録上明らかであるが、本件事案の内容や本件解雇に至る経緯、認諾をしながらも被告会社はその非を認めず争っていたた本件訴訟の経過等からすれば、当該認諾によって原告の就労が可能になったとは認められず、したがって、上述判断が妨げられるものではない。

 

2.そして、原告は少なくとも月額31万円の給料の支払を受けていたことが認められるから、被告会社は原告に対し、平成9年12月分から平成10年9月分まで月額31万円の割合による合計310万円の賃金支払義務が認められる。
(精神的苦痛に対する慰謝料200万円認容)


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