労働判例〜賃金や賞与、退職金

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割増賃金の請求に対し、回答を長期間延伸させた場合、裁判上の請求期間はいつ進行するのか?

労働判例

請求に対して検討の時間的猶予を求め、請求者が回答を待つことが権利行使の懈怠といえない場合には、支払拒絶の回答の日から6ヶ月間の裁判上の請求期間が進行するとされた事例
(平成9.3.13 東京地裁判決 S印刷事件)

 

判決の要点

請求に対する回答を長期間保留した場合の催告の効力

1.債務者が債権者の請求に対し、検討のための時間的猶予を求め、債権者がこれに応じてその回答を待つことが権利行使の懈怠とは評価できないような場合においては、債権者の催告の効力はこれにつき債務者より何らかの回答があるまで存続する。

 

すなわち、民法153条所定の6ヶ月の期間は、債務者から何らかの回答があるまで進行しないと解すべきである。

 

2.これを本件についてみるに、被告会社は、原告らの催告に対して、検討のための時間的猶予を求め、その後の原告らの請求に対しても基本的に同様の態度を取り続け、結局、平成3年7月5日に至って支払拒絶の意思を明確にしたので、原告らは同年12月20日に本訴提訴に至ったという事実経過や原告らの多くは当時被告会社の従業員であり、原告らの中心的立場にある原告Kは現在においても被告会社の従業員である。

 

3.原告らの、訴訟により解決する旨の申入れに対し、被告会社は交渉による解決を強く望んだので、原告らもこれを受け入れたこと、本件は、時効制度の趣旨の中でも債権者の権利行使懈怠という趣旨がより重視される2年間の短期消滅時効(労働基準法115条)が問題となっていることに鑑みれば、原告らの本件請求債権については、前記6ヶ月の期間は、信義則上、平成2年7月19日ないし同年8月31日から進行すると解すべきではなく、被告会社から回答があった平成3年7月5日から進行すると解すべきである。

 

4.そして、本件において、原告らは、被告会社の回答のあった平成3年7月5日から6ヶ月以内である同年12月20日に本訴を提起したのであるから、本件割増賃金請求権の消滅時効は本件催告によって中断されたものと解するのが相当である。


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