労働判例〜賃金や賞与、退職金

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重大な背信行為により懲戒事由に該当する場合、賞与を不支給としても差し支えないのか?

労働判例

病院との係争中に、病院を誹膀するビラを周辺住民宅に配布した行為は、病院の信用を害し、経営に悪影響を与え、懲戒事由にも当たり、当期分の賞与の不支給は理由があるとされた事例
(平成11.10.29 大阪地裁判決 K会Y病院事件)

 

判決の要点

病院を誹膀するビラの配付行為

1.平成9年7月14日、原告の地位を保全し賃金坂払を命じる仮処分決定がなされ、原告と被告との間では原告の職場復帰の話合いが持たれたが、原告が病院の謝罪や地域医療に貢獣する約定を求めるなどにより話合いは決裂し、原告は地位確認等の本案訴訟を提起した。

 

2.平成9年9月頃、原告は匿名で、「病院のモラルを正した労働者を『反抗的だ』『協調性がない』と解雇」と題したビラを作成し、Y病院周辺住民宅へ配付したが、このビラには、同病院では、患者に対し施療代金の不正請求をしている等が記載されていた。

 

ビラ配付行為の懲戒事由該当性と当期賞与不支給の相当性

1.原告が平成9年9月頃、上述のビラを配付したことについては、明らかに従業員としての立場を逸脱したもので、被告病院の業務妨害行為にも該当するものというべきである。

 

原告が監督官庁に対して不正を糾弾することはともかくとして、被告病院に不正行為があるとしてこれを付近住民等に流布することは何ら従業員としての正当な行為とはいえず、その必要性もないことであるし、前記ビラの記載内容は、被告の信用を害し、病院経営に悪影響を及ぼすことも明らかであって、被告からすれば、許し難い背信行為というべきであり、懲戒事由ともなし得るものというべきである。

 

被告が、これを賞与の査定において考慮することを、不当とする理由はない。

 

2.そうすると、これを理由に、被告が原告の賞与を不支給にしたことには正当な理由があると認められるが、それは、当該ビラ配付行為がなされた時期を対象期間とする平成9年冬季の賞与に限られるべきであって、平成9年夏季及び平成10年夏季賞与を不支給としたことには正当な理由がなく、これらについてそれぞれ基本給の2ヶ月分の支払を求める原告の請求は理由があるが、平成9年冬季賞与を不支給とした査定には正当な理由があり、原告は、その支払を請求できない。


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