労働判例〜賃金や賞与、退職金

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懲戒権の行使は、どのようになされるべきか?

労働判例

懲戒解雇を合む懲戒権の行使は、使用者と労働者間の合意もしくは就業規則において、懲戒事由・懲戒の種類・懲戒の手続等の定めを必要とし、懲戒解雇事由は限定列挙と解すべきものとされた事例
(平成12.2.28 東京地裁判決 Mサポート事件)

 

判決の要点

就業規則の懲戒事由の解釈及び「その他各号に準ずる行為」の解釈

1.本件就業規則43条は、「社員が次の各号の一つに該当するときは、懲戒解雇処分とします」と規定し、その7号として、「その他各号に準ずる行為があった者」を挙げているが、1号から6号まではいずれも社員が行った非違行為を理由に、当該社員を懲戒解雇する場合について定めた規定であり、この各号は、非違行為の内容・程度に照らせば、そのような非違行為を行った社員から労務提供を受けるために雇用し続けることは、企業秩序維持の観点から到底容認できず、解雇することとした規定であると考えられる。

 

2.そして、7号が1号から6号までの定めを受けて、「その他各号に準ずる行為があった者」について懲戒解雇することを定めていることからすれば、7号は1号から6号に定める非違行為以外の非違行為で、かつ、その非違行為を行った社員の雇用をし続けることが企業秩序維持の観点から、容認できないという程度及び内容の非違行為を懲戒解雇事由とする定めであると解される。

 

労使問の合意又は就業規則の定めがない場合の懲戒処分の可否

一般に、使用者が労働者に対し懲戒解雇を含め、懲戒権を行使することができるかという点については、使用者と労働者との間の合意若しくは就業規則において何らの定めがない場合であっても、これをなし得ると解するのは相当ではなく、上述のような合意若しくは就業規則において、懲戒の事由、種類、手続などが定められている場合に限り、使用者はこれをなし得ると解すべきである。

 

就業規則の懲戒事由の列挙の趣旨

就業規則に明示された懲戒解雇事由というのは、これに該当する行為が行われた場合に初めて懲戒権が行使されるということを示すものであって、限定列挙と解すべきである。
したがって、7号のように「その他各号に準ずる行為があった者」などという抽象的表現の概括条項が設けられている場合に、このような条項に該当するというためには、懲戒の対象となる当該行為が、それ以外に列挙された事由と近似した内容のものであることのほか、企業秩序維持の観点からそれらと同程度の反価値性を有することも必要であると解すべきだからである。


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