労働判例〜賃金や賞与、退職金

スポンサードリンク



「懲戒解雇者」を不支給対象と定めている場合には、自己退職者の請求を拒めるのか?

労働判例

懲戒解雇相当の行為があっても、「懲戒解雇者には退職金を支給しない」旨の規定である場合には、当該懲戒解雇相当行為の存在のみを理由に、退職金の支払を拒めないとされた事例
(平成6.6.21 東京地裁判決 IBK事件)

 

判決の要点

退職金規定の規定内容

懲戒解雇に伴う退職金の全部又は一部の不支給は、これを退職金規定等に明記して初めて労働契約の内容となり得ると解すべきところ、本件においては、被告会社の退職金規定は、その5条で、「懲戒解雇になった者には退職金は支給しない。」、7条で、「就業規則に定める懲戒基準に該当する反則が退職の原因となった者に対しては、その者の算定額から50%以内を減額することができる。」と定めているが、「懲戒解雇に相当する事由がある者には退職金を支給しない」旨の規定は存在しない。

 

「懲戒解雇相当事由の存在」を理由とする退職金支払拒否の可否

してみると、仮に被告会社が主張するような懲戒解雇相当の行為が原告にあったとしても、現に被告会社が原告を懲戒解雇したとの主張立証がない以上、当該行為が存在することのみを理由として、退職金の支払を拒むことはできないものと解するのが相当である。

 

また、原告は、被告会社を平成4年11月30日に退職したことにより、原告・被告会社間の雇用契約が終了している以上、その後に被告会社が原告に対し懲戒解雇の意思表示をしたとしても、その効力はない。

 

なお、被告会社の主張する原告の行為が、原告の退職の原因であったとする主張立証はない。


スポンサードリンク

「懲戒解雇者」を不支給対象と定めている場合には、自己退職者の請求を拒めるのか?

従業員に対する企業の懲戒権は、何を根拠に認められるのか?
従業員に対する企業の懲戒権は、何を根拠に認められるのか?
懲戒権の行使は、どのようになされるべきか?
退職金を不支給ないし減額することが認められる懲戒解雇事由とは、どのような事由なのか?
退職金を不支給ないし減額することが認められる懲戒解雇事由とは、どのような事由か?
退職金の不支給・減額規定には、どの程度の明確性が要求されるのか?
懲戒解雇時に退職金不支給規定が存在しなくても、退職金を不支給にできるのか?
退職金不支給規定が、懲戒解雇時に周知されていない場合でも、不支給規定を適用できるのか?
懲戒解雇者に退職金を不支給とする規定は有効か?不支給規定がなくても不支給にできるのか?
「懲戒解雇者」を不支給対象と定めている場合には、自己退職者の請求を拒めるのか?
自己退職者に対して、「懲戒解雇事由のある者」の不支給規定を適用した事例はあるのか?
退職の成立後に、懲戒解雇を理由に退職金を不支給にできるのか?
退職の成立後に、懲戒解雇を理由に退職金を不支給にできるのか?
自己退職の成立後に、懲戒解雇を理由に退職金を不支給にできるのか?
重大な背信行為の発覚前に自己退職した場合には、退職金の請求を拒めるのか?
重大な背信行為の発覚前に自己退職した場合には、退職金の請求を拒めるのか?
金銭領得行為に隠蔽工作を施して自己退職した場合には、退職金の請求を拒めるのか?
退職金を支給済であっても、退職金不支給事由に該当する場合には、返還請求ができるのか?
「円満退職を支給条件」とする規定は、どのように解すべきか?
「円満退職を支給条件」とする規定は、どのように解すべきか?
「円満退職条項」違反があった場合でも、退職金請求権が認められた事例があるのか?
就業規則の退職届提出規定に反した場合には、退職金請求権は認められないのか?