労働判例〜賃金や賞与、退職金

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重大な背信行為の発覚前に自己退職した場合には、退職金の請求を拒めるのか?

労働判例

自己都合退職後に判明した懲戒解雇に相当する行為が、永年勤続功労の抹消に値する重大な背信行為に当たる場合には、退職金請求権の行使は権利の濫用に当たるとされた事例
(昭和59.6.8 名古屋地裁判決 T工業事件)

 

判決の要点

重大な背信行為を秘匿した雇用契約終了後の退職金請求権行使の権利の濫用性

1.退職金が功労報償的性格をも有しており、退職金規定に懲戒解雇者に対する退職金不支給の規定がある場合において、退職後に懲戒解雇相当事由の存在が判明した場合、当該退職者の退職金請求権の行使が権利の濫用に該当するか否かについて考える。

 

2.期間の定めのない雇用契約において、従業員が使用者に対し退職の申し出(解約の申入れ)をしたときは、使用者の承諾の有無にかかわらず、民法627条所定の予告期間を経過することにより雇用契約は当然終了し、その後に使用者が当該労働者に対し懲戒解雇処分をすることは法的に不可能である。

 

3.そして、従業員が在職中に永年の勤続の功を抹殺してしまう程の重大な背信行為をしておきながら、これを秘して雇用契約解約の申入れをし、その契約終了後に自己都合による退職をしたとして退職金請求権を行使することを容認すれば、懲戒解雇者の場合と著しく均衡を失し、社会の正義感、公平感に反することを考えると、退職後に判明した在職中の懲戒解雇相当事由が永年の勤続の功を抹殺してしまう程の重大な背信行為である場合は、当該退職者の退職金請求権の行使は権利の濫用に該当し、許されないものと解するのが相当である。


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