労働判例〜賃金や賞与、退職金

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給与減額説明会や減額の通知に対して異議を述べなかった場合は、減額の同意が認められるのか?

労働判例

本件給与減額は全員一律の減額ではなく、効果査定に基づく減額であって、個別的に説明のうえ同意を得ていないから、減額に対する同意は認められないとされた事例
(平成11.8.20 東京地裁判決 N製作所事件)

 

判決の要点

賃金減額に対する個別的同意の必要性

1.本件給与減額措置に関し、被告会社は、全従業員に説明会及び無記名アンケートを実施しているが、労働組合は賃下げであることを理由に労働協約の締結を拒否し、個別的な契約として欲しいと申入れただけでなく、職場大会において反対意見が多数を占めたことから、平成8年12月3日、被告会社に対し再考を求めたが、被告会社は拒否し、本件給与の減額を実施した。

 

2.このことからすると、本件給与減額措置に関しては、労働組合の同意があったとはいえないことは明らかである。

 

なお、無記名アンケートは、給与の見直し、雇用調整についての意見を問うもので、このアンケートの結果、118名の従業員が給与の見直しに賛成ないし概ね賛成したからといって、その点では、被告会社から給与減額の具体的な規模及び金額について明示されていなかったから、被告会社が示した給与見直し案に従業員が賛成したとはいえないのは当然である。

 

3.そうだとすれば、給与は労働条件の中でも最も重要な事項であることに照らし、被告会社としては、給与が減額される各従業員から個別的に同意を得なければ、給与の減額は行えないというべきである。

 

給与袋に減額後の給与を記載し意見を求め、異議のないことは個別同意となるか

1.被告会社は、平成8年12月6日の給与支給の際、給料袋に減額後の給与を明示し、意見があれば、申し出て欲しい旨記載した通知書を同封し、その後原告らから異議を述べられたことはない事実をもって原告らが本件給与減額措置に同意していた旨主張する。

 

2.しかし、本件給与減額措置は、全従業員が対象であったとはいえ、全従業員の給与を一律に減額するというものではなく、結果的に給与が減額された者は全従業員の過半数である142名であり、その減額幅も能力や過去の考課査定を勘案することになっていたから一律ではなく、しかも最高で8万円も減額された従業員もいたことなどからすれば、事前に当該従業員こ対し、個別的にそれぞれの給与減額の理由を説明した上、同意を得なければならないというべきであるところ、被告会社はそのようなことをしていない。

 

3.定年退職者を除く原告らは、平成8年12月中に被告会社を退職したこと、その理由は平成8年4月及び12月の2回の給与減額により生計の維持が困難になったこと、そして、原告らが訴訟を提起したことなどの事実に照らせば、原告らが異議を述べなかったことをもって、本件給与減額措置に同意したものということはできない。

 

したがって、本件給与減額措置は無効であるというほかない。


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