労働判例〜賃金や賞与、退職金

スポンサードリンク



賃金規則の変更が合理的な内容であれば、月額賃金を引き下げる

労働判例

賃金規則の改正が賃金減額を生ずる場合、当該条項が合理的である限り、不同意の労働者もその適用を拒めないが、月額・年俸額の確定額合意がある場合には、契約期間の途中で減額できないとされた事例
(平成12.2.8 東京地裁判決 CAI事件)

 

判決の要点

賃金減額を含む賃金規則改正の有効性

1.新賃金規則の適用により従業員のうちで賃金額が減少した者と増額した者とがあるが、賃金減額を生じ得る変更である以上、新賃金規則への変更は就業規則の不利益変更に該当するものと認められ、このように就業規則の改正によって労働者に不利益な労働条件を一方的に課することは原則として許されないが、当該条項が合理的なものである限り、これに同意しない労働者もその適用を拒むことはできないというべきである。

 

2.本件において、被告会社が就業規則及び賃金規則を改定した経緯は、(中略)被告会社の財政状況は平成9年6月以降急速に悪化し、倒産の危険もある状況となり、ソフト開発会社として設立後問もないいわゆるベンチヤー企業である被告会社が、財政状況を建て直して経営破綻を免れ、かつ、成果の上がった従業員にその成果に応じた給与を支給することにより従業員の勤労意欲を高め、顧客の要求に即応した製品開発を実現できるよう、賃金制度を成果主義に基づくものにすべく、就業規則及び賃金規則を変更する必要性があったことに基づくものと認められる。

 

そして、この変更については、原告を除く他の正社員全員が同意している事実も認められる。

 

賃金規則の変更は確定賃金額をも変更し得るか

しかし、本件においては、原告と被告会社は期間を1年とする雇用契約により、旧賃金規定の支給基準等にかかわらず、支払賃金額は月額36万5,000円、年俸額620万円の確定額として合意をしているのであり、このような年俸額及び賃金月額についての合意が存在している以上、被告会社が賃金規則を変更したとして合意された賃金月額を契約期間の途中で一方的に引き下げることは、改定内容の合理性の有無にかかわらず許されないものといわざるを得ない。


スポンサードリンク