労働判例〜賃金や賞与、退職金

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「勤務態度が悪い」ことを理由とする全額不支給は認められるのか?

労働判例案内人

正社員には従前から夏季・年末賞与が代表者の裁量により支給されており、作業能率等に対する査定権限を尊重すべきことを考慮して、同種作業者と同等の支給が認められた事例
(平成10.2.9 大阪地裁判決 S堂事件)

 

判決の要点

原告に対する賞与の不支給と他の従業員に対する支給状況

1.被告会社は、従前から正社員に対し、毎年夏季賞与及び年末賞与を支給してきたが、原告には「勤務態度が悪い」などとして、平成8年度は夏季・年末ともに賞与が支給されなかった。
しかし、他方、原告以外の他の正社員は、上述の各賞与の支給を受けていた。

 

2.被告会社が正社員に支給してきた賞与の額は、1ヶ月分程度を上限とし、具体的な支給額は主に被告会社代表者の査定によって決定され、社員により相当のばらつきがあった。
正社員のうち、原告と同様に工場内で作業する者は、平成8年度年末において他にAとBの2名が存在し、Aの平成8年度年末賞与は32万円であり、Bは15万円であったが、これは夏季賞与でも概ね同様の数字であった。
被告会社代表者の査定では、Aは豆腐の製造等広範な作業ができるということで高い評価がされた反面、Bはそれほど広範な作業を任せられず、その結果低い評価になった。

 

3.以上の認定事実によれば、被告会社において賞与は、従前から概ね1ヶ月程度を上限として、代表者の査定により支給されており、その査定の結果、原告と同様に工場内で作業していた他の正社員2人の賞与額は、各人の業務遂行の程度を勘案して32万円と15万円と決定されたことが認められる。

 

原告の受けるべき賞与の金額の認定

1.上述の事実によれば、原告が被告会社に対し、平成8年度末賞与として、当然に1ヶ月分の賃金30万円相当の金員を請求し得る権利があるとまではいえないが、他方、請求する権利がないとまでは直ちにいえないというべきである。

 

2.前記認定事実及び証拠並びに弁論の全趣旨によれば、原告と同様に仕分けや配送作業に従事する前記Bについては、代表者の査定上さほど高い評価がされていないにもかかわらず、15万円が支給されていること、他方、原告の仕事ぶりは作業能率や仕分作業中の過誤等の点で問題がなかった訳ではなく、その限度で被告会社代表者の査定権限を尊重すべきことなどを総合考慮すれば、上述Bとほぼ同等の作業に従事する原告に対しては、上述Bと同等の15万円が支給されてしかるべきものといえる。


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