労働判例〜賃金や賞与、退職金

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関連会社に出向中の期間は、退職金計算において通算されるのか?

労働判例

関連会社に6年間勤務後、元の会社に戻って3年後に解雇された場合の退職金計算において、関連会社の6年間は在籍出向に当たるとして、通算すべきものとされた事例
(平成4.9.28 東京地裁判決 東京Y・大阪Y事件)

 

判決の要点

原告労働者の勤務経歴及び解雇の際の状況

1.被告東京Y及び同大阪Yは、いずれも服飾生地の販売等を業とする株式会社で、その営業は被告ら訴訟代理人がその父親から継承した家業であり、株式は同人ら及びその家族らがほぼ独占し、また、役員も殆どの者が相互に兼任している。

 

2.原告は、昭和43年被告東京Yに雇用され、昭和57年3月末日まで勤務し、この間営業を担当して成績を伸ばし、その後経営状態の悪かった被告大阪Yに経営責任者として5年間行ってくれないかと言われて承諾し、昭和57年4月1日から被告大阪Yに6年間在職して営業を統括した。

 

被告大阪Yに移るに際しては、退職届の提出など退職の意思表示を求められたことや、退職扱いとなるとか退職金の話などなく、被告東京Yも解雇の意思表示をした形跡はない。

 

3.被告大阪Yにおける原告の賞与考課表には、入社時期が一貫して昭和43年と記載され、勤統年数として昭和61年6月は18年4ヶ月、同年12月は18年10ヶ月、昭和62年6月は19年4ヶ月、同年12月は19年10ヶ月と明記されていた。

 

4.原告は、被告大阪Y赴任以来6年目の昭和63年3月頃、東京に戻ることを指示され、同年4月、再び被告東京Yに帰って就業するようになったが、この際も、退職届の提出等退職の意思表示を求められず、退職扱いや退職金の説明はなかった。

 

もっとも、原告が被告東京Yに勤務するようになって2ヶ月後の同年6月、原告の預金口座に75万2,000円が振り込まれた。

 

これは、原告の当時の基本給16万円に勤続6年の「会社都合退職」等の場合の退職金支給率4.7を乗じた額である。

 

5.被告東京Yは、平成3年4月23日到達の内容証明郵便で本件解雇の意思表示をしたが、その理由は、社員に退職を勤めたというものであるが、その証拠はない。

 

被告東京Yは、原告に同月25日付けで給与の精算と解雇予告手当36万円の提供を通知した。

 

なお、前記被告大阪Yが原告の口座に振り込んだ75万2,000円について、被告らは原告の請求に基づく退職金であると主張し、原告は赤字だった被告大阪Yを建て直した功労金であると主張し、その振込時の税務申告書は忙しくてよく見ないで署名したと弁明するが、一見して退職金支払に関する申告書であることは明らかであり、この弁明は採用できないが、結論として、出向先から出向元に戻るに際して出向先から支払われたものにすぎないから、後記する被告東京Yが支払うべき退職金の先払いとして控除する余地はない。

 

退職金算定に当たり両社勤続期間通算の必要性

以上の認定判断によると、被告らの法人格が形骸化ないしは濫用されているとまではいえないが、原告は被告東京Yに在籍したまま被告大阪Yに6年間出向していたものとみるのが相当であるから、被告東京Y及び被告大阪Yでの原告の勤務年数は退職金計算に当たって通算しなければならない。

 

そして、本件懲戒解雇の理由がない以上、原告の退職金支給率は「会社都合」によるものとして算定すべきものである。

 

よって、被告東京Yから原告に支払われるべき退職金額は、基本給額である18万円に在職年数の24を乗じた金額である432万円である。


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