労働判例〜賃金や賞与、退職金

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トラック運転手を勤務態度不良により下車勤務とした場合、大幅な賃金減額は許されるのか?

労働判例

職種限定の労働契約であり、配転先検討のための下車勤務期間は2週間程度で充分であるとして、当該期間に対する運転手当不支給措置が違法とはいえないとされた事例
(平成12.1.21 大阪地裁判決 M運輸事件)

 

判決の要点

原告運転手の得意先での就労態度

1.被告会社は、
@平成9年8月5日、U運輸倉庫から、原告が同社の南港センターで同社の配車担当者の配車指示を拒否し、かつ、他の担当者にも文句を言ったので他の運転手に配送を指示したとして、原告を南港センターでの就労から外すように要請され、原告に謝罪させ、その後の就労の了解を得たが、

 

A平成10年9月1日、U運輸倉庫から、原告が南港センターの同社の配車担当者に対するクレームが多いので、指導、教育を徹底するようにとの警告を受け、

 

B平成11年1月6日、前月31日に原告がU運輸倉庫の配車担当者に対し直接クレームを付けたとして、原告の南港センターでの業務を外すことを要求され、

 

そのため、原告を従前のまま南港センターにおける配送に従事させることができず、原告に対して本社勤務を命ずるに至ったことを認めることができる。

 

2.原告は、配車拒否まではしたことはないと言い、配車担当者に配車について要望したり、労働組合の委員長として公平な配車を求めただけであるというが、被告会社の得意先という他社との業務上の関係であるから、直接苦情や要望を求めるのは相当でなく、原告の所為に問題があったことは否めない。

 

原告の本社への配転の相当性

そして、被告会社としては、U運輸倉庫から3回にも及ぶ申入れを受け、平成11年1月6日には、原告の南港センターにおける就労を拒否されたのであるから、原告を同所で就労させることができなくなったというべきであり、原告の配置転換は致し方のないことというべきである。

 

原告のトラック運転手としての職種の限定合意と配転先の業務、運転手当の減額

1.原告と被告会社の雇用契約は、原告の業務をトラック運転手として限定して締結されたものである。

 

そこで、その配置転換先は、他の運転業務がまず検討されなければならない。

 

ただ、本件配転命令が、U運輸倉庫による平成11年1月6日の原告の就労拒否を受けて、翌日になされたことからすると、配転先検討のため、当面、運転業務以外の勤務を命じたとしても、そのこと自体はやむを得ないものであり、運転業務に件う手当が支給されなくなっても違法とはいえない。

 

2.しかしながら、雇用契約に業務の限定があることからすると、業務外への配転が合理的として許されるのは、配転先を検討し、次の異動が可能となるまでの期間というべきである。

 

そうすると、原告の配転先を検討する期間としては、2週間もあれば充分というべきであり、被告会社は、遅くとも平成11年2月には、原告を運転業務に復させるべきであり、原告の同月からの地上勤務は違法というべきである。

 

3.被告会社は、平成11年1月7日付けで、原告に対し、同年1月8日以降本社に勤務し、被告会社の指示する業務に就くよう命じ、原告は一応これに従っている。

 

そして、原告の賃金は、本件配転に伴って同年1月分以降大幅に減少したが、減額となったのは、運転業務に件う手当がなくなったことによるものと認められる。


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