労働判例〜賃金や賞与、退職金

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部長職から一般職への降格に伴って、役職手当の不支給措置は認められるのか?

労働判例

物流担当部長当時、物流合理化案の作成を懈怠したことによる降格は、人事権の濫用に当たらず、降格が適法であって、役職手当の請求権は認められないとされた事例
(平成11.7.30 大阪地裁判決 Kメーソンリー事件)

 

判決の要点

降格原因と降格の相当性

1.平成10年5月28目の本件配転が部役職を解くという降格を伴うものであったことを認めることができる。
使用者が役職のある従業員を一般職に降格することは、人事権の行使であり濫用に当たらない限り、これを無効とすることはできない。

 

2.原告は、平成9年2月以降、物流担当の部長であったが、その当時、既に2億8,000万円程度であった在庫額がその後も増加し、そのため、平成10年1月頃、被告会社代表者から直接在庫を減らすための物流合理化案の作成を、期限を1ヶ月として指示された。

 

しかし、原告はこれを作成せず、督促されて、同年4月に中間報告書を作成したが、いわゆる教科書的なことを書き並べただけで、具体的な提案はなく、被告会社代表者から突き返され、時間を下さいと言って引き下がったものの、本件配転までに提出しなかったことを認めることができる。

 

3.原告は、物流担当部長となる前は物流センターの部長であったし、かかる合理化案の作成を命じられれば、その作成期限内に作成することは可能であった筈であり、これを作成しなかったことを咎められてもやむを得ない。

 

原告は、在庫品を減少させるには、販売の拡大か生産制限しかなく、原告に責任がないというが、それ以外に全く方策がないとは信じられないが、仮にそうであってもそれを指摘すればよく、合理化業を作成しなかったことの理由にはならない。<中略>

 

本件降格に伴う不利益は決して小さくはないが、残余の賃金が不当に小額ともいえず、降格の原因、降格による不利益を検討しても、当該降格を人事権の濫用とまでは認めることができない。

 

部長職解任に伴う役職手当喪失の相当性

原告は、降格が認められるとしても、役職手当を含めた賃金の一方的減額は許されないと主張するが、降格が適法であって役職を失えば、役職手当が不支給となるのはやむを得ないところである。

 

職務に伴って支払われる手当は、その職務を担当しなければ支払われなくなるものである。
したがって、原告の役職手当請求は認められない。


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