労働判例〜賃金や賞与、退職金

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営業成績が目標に達しないことを理由に、一方的に賃金の減額ができるのか?

労働判例案内人

首都圏の責任者として現給の30%増しで採用したものの、所期の成績が上がらないため、役職を外し大幅に減給したことが、特段の事情なくして本人の意思に反するものであり、無効とされた事例
(昭和61.1.27 東京地裁判決 津軽S販売事件)

 

判決の要点

転職入社の経緯

被告会社は、販売拡大のため首都圏での販売責任者を求め、同社の相談者の立場にいたTに相談したところ、Tの後輩でK食品の取締役副支配人であった原告を紹介され、同人に被告会社への入社を再三要請し、初年度は現給130%相当とし、以後被告会社のアップ率による等の条件で、昭和55年4月1日原告を被告会社取締役東京営業所長として移籍させ、約定どおり月額75万5,000円の給与を毎月支給してきた。

 

成績不振と賃金の減額

1.原告は、被告会社の首都圏の販売責任者として成績を挙げるべく期待され、被告会社も全力傾注で協力したが、目標成績を挙げられず、そのため、昭和56年7月に至り被告会社社長から退職を迫られ、応じないときは賃金を減額する旨申し渡され、結局、一方的に同月分の賃金から月額58万3,000円に減額された。

 

2.そして、その後も依然として成績が挙がらず、同年10月に至り東京営業所長の地位を奪われ、さらに翌昭和57年5月29日の株主総会で取締役に再任されず、ついに同年10月分から月額27万6,500円と一方的に減額されたまま、現在に至っている。

 

成績不振を理由とする賃金の一方的減額の効力

1.原告と被告会社との関係が雇用契約関係であり、しかも、原告が一定の具体的業績を挙げることがその労働条件維持の前提ともなっていないものであるから、被告会社としては、原告との間に特約があるとか、就業規則等にその旨の定めがあるとかの特段の事情の存しない限り、一般的に法律上許容されている他の手段によるものであれば格別、原告の意思に反して労働条件を原告に不利益に一方的に変更(雇用契約内容の一方的変更)することは、いかに原告が被告会社社長の予期した成績を挙げられなかったからといっても、許されないものというべく、本件では上述特段の事情を認められない。

 

2.そうすると、原告は被告会社に対し別紙(略)記載の労働契約上の地位にあるというべきところ、被告会社がこれを争っているので、この地位の確認を求める原告の請求は理由があるから認容する。

 

3.さらに、以上の事実によれば、原告は被告会社に対し、月額賃金として、毎月末日限り75万5,000円の支払いを求める権利を有するものというべきである。


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