労働判例〜賃金や賞与、退職金

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年俸制における賞与について、その年の途中で退職する場合には、どのように計算すべきか?

労働判例

年俸額における賞与5ヶ月分の契約において、1年の契約期間の途中で退職する場合に、計算方法の合意がないときは、勤務日数により按分した額の賞与請求権を有するとされた事例
(平成12.2.8 東京地裁判決 CAI事件)

 

判決の要点

賞与に関する雇用契約内容についての会社の主張

本件雇用契約においては、「ボーナスは業績還元方式を採用。ただし、5ヶ月分/年(6月、12月)を想定」との合意がされており、被告会社はこの点につき、「業績還元方式」の内容は、決算期ごとに税引前利益の3分の1の金額をボーナスとして従業員に分配し、利益が出なければボーナスは支給されないものであり、被告会社代表者も、原告にはその旨説明済であり、平成9年度6月期の被告会社の決算では全く利益が出なかったが、従業員の士気を高めるため、同月、寸志を支給しただけであり、原告は平成9年6月の賞与請求権を有しないと主張する。

 

そして、当時の被告会社の旧賃金規則には賞与に関する定めはなく、他の従業員に対しても2万円から14万円のみの支給がされている事実が認められる。

 

本件年俸制における賞与の約定と中途退職時の請求権の範囲

1.しかし、本件雇用契約は、年俸額を620万円と合意したもので、「年俸」の文言は1年間に支給される賃金額をいうものと解すべきであるから、本件雇用契約の合意内容は、年俸額の17分の12を月当たり賃金として支払い、残りの5ヶ月分については、賞与2回分合計の最低保障として確定的に支給する旨を合意したものと解するのが相当である。

 

2.ただし、本件雇用契約の文言上は、6月賞与として2.5ヶ月分の支給をするとの記載はなく、この内容が合意された事実を認めるに足りる証拠はないものの、年俸額が確定額で定められ、賞与として5ヶ月分を2回に分けて支給するとし、その計算方法に特段の合意がない場合には、契約期間の途中で退職した原告の賞与請求権については、少なくとも契約期間中勤務した日数により按分した額の具体的支払請求権を有すると認めるのが相当である。

 

したがって、原告は被告会社に対し、賞与5ヶ月分182万5,000円につき、365日分の172日の割合による86万円の賞与請求権から、支払済みの7万円を控除した残金79万円の支払請求権を有するものと認められる。


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