労働判例〜賃金や賞与、退職金

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勤務場所の閉鎖に伴い、やむを得ず退職届を提出した場合でも、自己都合退職となるのか?

労働判例

退職届が提出された場合であっても、業務の都合によりやむを得ず退職届の提出に至った場合には、会社都合による解雇に係る退職金支給率が適用されるとされた事例
(平成2.11.27 東京地裁判決 ニューRクォーター事件)

 

判決の要点

退職届提出の経緯

1.被告会社は、ホテルニュージャパンの取り壊しに件い、同ホテル地下で営業していたニューラテンクォーターを閉鎖することとし、平成元年4月7日、全従業員ミーティングで同年5月27日限りで閉鎖をする旨発表し、その際、移転先を探して全従業員を従来どおり勤務させることを約束した。

 

2.同年5月20日、被告代表者は移転先を発表したが、移転先は営業中であって従業員がいること、スペースが2.5分の1となり、勤務時間も長く、その他の勤務条件も厳しいことから、従業員に動揺が起こり、結果として同年5月26目、営業部長からニューラテンクォーターは解散するから退職届を提出してくれとの指示があり、全従業員41名中原告らを含む27名が退職届を提出した。

 

退職届の提出による退職は、就業規則の「会社業務の都合による解雇」に該当するか

1.原告らが退職届を提出しており、形式的には被告会社の就業規則7条2号の「会社業務の都合により解雇されたとき」の「解雇されたとき」に該当しないようにみえるが、本件条項の趣旨は、会社業務の都合により職を失う結果となる従業員に対し、特に割増の退職金を支払うことを定めたものと解すべきであるから、たとえ従業員の方から退職届を提出した場合であっても、会社業務の都合により労働条件に重大な変更があり、従業員がやむを得ず退職届を提出するに至った場合や、会社側が従業員に対し退職届を出すよう指導したために退職届を提出するに至った場合等も含めるべきである。

 

2.原告らの勤務場所であるニューラテンクォーターの閉鎖は会社側の事情であり、移転先は当時他店が営業中の店舗で従業員がいるうえに、スペースが狭く、従業員全員が移転できないと考えることに無理はないこと、移転後の労働条件についても納得のいく説明がなく、5月26日こなり「解散になったから退職届を出してくれ」といって積極的に退職届を提出させたこと等から、原告らは自己の都合で退職したものではなく、会社業務の都合によりやむを得ず退職届を提出し職を失ったというべきであるから、退職金支給率甲欄(会社都合解雇)が適用される事案であると判断するべきである。


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