労働判例〜賃金や賞与、退職金

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出向拒否者に対して懲戒解雇を暗示して説得した場合、退職の強要として、会社都合退職となるのか?

労働判例

有効な出向命令の拒否者に対して、懲戒解雇を暗示して説得する行為は、退職に当たらず、勧奨退職ではないとして、自己退職とされた事例
(平成7.3.6 名古屋地裁判決 CRV総合研究所事件)

 

判決の要点

出向命令の適法・有効性

就業規則14条には、「会社は従業員に対し他の会社又は団体に出向又は派遣して勤務させることがある」と規定され、被告会社の従業員は特段の事情のない限り、出向命令に従うべき義務を負っていると認められる。

 

原告に対する出向の内示には首肯し得る目的と必要性が認められ、その手続についても特に瑕疵は認められず、原告が名古屋市内に自宅を所有することのみでは、名古屋から新幹線で1時間余りの大阪への赴任を拒否できる理由とはなり得ないから、出向命令が発出された場合には、これに従うべき義務があったというべきである。

 

勧奨退職の解釈と会社の出向要求

規程にいう「会社の勧奨により退職する場合」とは、被告会社か従業員に対し、解雇という手段を選ばず任意に自ら退職するようその決意を固めさせる目的を持って退職を勧め、その結果従業員がこれに応じて退職する場合を指すものと解すべきところ、被告会社としては、あくまでも原告に対して子会社への出向を求めたのであって、原告に不合理な出向を強要して任意退職に追い込む目的があったものとは認め難いというべきである。

 

被告会社の支社長が原告に対し、出向命令を拒否すれば懲戒解雇になることを仄めかしたが、これは出向命令に合理性が認められる以上、これを拒否すれば業務命令拒否を理由とする懲戒解雇処分が当然に予測され、原告にとっては最悪の事態となるため、上司として将来予測される事態を的確に認識させ、出向に応ずるよう翻意を促すためになされたものであり、出向を□実に、退職を強要したとする原告の主張は採用することができない。

 

退職事由区分

そうすると、本件退職は、被告会社の勧奨による退職ではなく、原告自らの都合により退職の道を選んだものというべきであり、その退職金額は178万6,690円となるが、その金額は被告会社から既に支払済である。

 

したがって、本件退職が被告会社の勧奨による退職であることを理由とする本訴請求は理由がない。


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