労働判例〜賃金や賞与、退職金

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退職金は法的な権利として認められるのか?(退職金の今日における法的性質)

労働判例

退職金は今日では少なくとも恩恵的なものに過ぎないとは考えられず、就業規則等により支給条件が明確になっている場合には、賃金の後払い的性質を有するものとして、法的な請求権であるとされた事例
(昭和59.5.15 東京地裁判決 O会計事務所事件)

 

判決の要点

退職金の今日における法的性質

1.退職金は、古くは労働者に対する雇用主の恩恵的支給であると考えられていたこともあったが、今日では、これを必ずしも恩恵的なものに過ぎないとは考えず、少なくとも、就業規則その他により支給基準が明確になっている場合にあっては、退職金は賃金の後払い的性質を有するものであり、労働者は、法的に退職金請求権を有するものである、と解するのが一般である。

 

2.本件においても、原告の退職金は、被告事務所職員勤務規定により具体的に算出し得るものである。

 

したがって、その財源が労働者の在職中の給与からの控除によるものか、雇用主の出資によるものかにかかわらず、単なる事業主の恩恵的給付に止まるものではなく、法的権利であると解すべきである。

 

【参考:同旨の判例】

退職金の今日における基本的性質は、労働の対償であるとされた事例

(平成1.6.26 名古屋地裁判決 TN広告社事件判決の要点)

 

退職金の基本的性質は労働の対償

沿革的にみると、退職金制度は使用者による任意的・恩恵的な給付として発達したものであり、現在においても、使用者は退職金制度を設けることを強制されているわけではない。

 

しかし、ひとたび就業規則を介して退職金制度の存在が労働契約の内容となり、使用者の退職金支払義務が明確化し、労働者にとってそれが重要な労働条件として意識されるようになると、退職金の基本的性質は労働の対償に転化するといわざるを得ない。

 

退職金の基本的性格は労働の対償であり、退職時には支払請求権を取得するとされた事例

(平成7.9.29 東京地裁判決 B社事件判決の要点)

 

退職金の基本的性格

1.被告会社の退職金は、退職金規定及び別表により退職金額を算出することとされ、その方法は、勤続年数による基本退職金と職給付加金とを合計し、定年退職等の一定の事由による退職の場合にはその全額、自己都合による退職の場合には、この数値に勤続年数に応じて決められた率を乗じて算出した金額を実際支給額とするものであり、また、懲戒解雇された者には支給しないとされている。

 

2.この退職金の算定の仕方をみると、支給条件、支給額が明確で、裁量の余地が殆どない。

 

そうすると被告会社の退職金の基本的性格は、従業員が継続してなした労働の対償であって、賃金の一様であると認めることができる。

 

そして、退職金規定及び別表は就業規則と一体になるものとして会社と従業員との間の労働契約の内容となっており、従業員は、退職に当たり、上述に基づく退職金の支払請求権を権利として取得することになる。


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